少部数はダメ!少なくともコミケではッ!

 先日、「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」という記事を投稿しました。

 これをX(旧Twitter)で紹介したところ、こんな引用とリプライを頂きました。

「コピー本10部/内容良ければ売れる/中身と価格表示/原価割れ防ぐ」

 大変、ありがたい『アドバイス』を頂戴いたしました♪

 ありがとうございます♡

 おいィ?

……さては、俺が先日うpした記事、まったく読ンでねーな?www

 ま、Xではよくあるコト。1ポストだけを見て反応するってのはw恐らく、ポストされた記事のアイキャッチに「同人誌、何部刷る?」ってのが見えたンで、俺がそれについて“尋ねている”と思われたのかも知れない。

 うむ、真逆である!w

 しかし、これが実に先日投稿した記事とマッチおり、確認すれば分かりますが、ちゃンと書いておきましたよ?そう、かじった程度の知識は、聴くな!、とw

 アドバイスってのは両極端で、本当に役立つものと、ま~ったく役に立たないもの、のいずれしかない!w

 しかし、実に良い反応です。

 先日投稿した記事と、この真逆のアドバイス、これが如何に宜しくないかについてご説明します。

あくまでも、コミケでのお話ですよ?規模の小さい同人誌即売会に初めて参加する事は考慮してませんので勘違いなさらないように!w

少部数で参加する無意味さ

 コミケのサークルスペースをご存知ですか?

 1スペース当たり、長机の半分、横幅90cm、奥行き45cm、高さ70cmです。

 わたくし、初参加の折、予めこのスペースを見知った時、狭ッ!、と思った訳ですwですから、初参加にも関わらず、2スペース分申し込んだのです(横幅180cm、要は長机1つ分)。

 さて、では、冒頭に記したアドバイス「コピー本10部(冊)」を置いてみましょう♪

 スッカスカ!!!w

 勿論、ブックスタンド一脚に対し、1部を立て、これを並べのであれば手狭ですが、そンなディスプレイの仕方、考えられませんよね?w

 大抵、コピー本で参加なされるサークル様の場合、ディスプレイも考慮していませんから、平積み、です。平積み10部のコピー本……もう、お通夜状態です!

 これが如何に、みっともない、状態であるか想像してみて下さい。これでは、売れるもンすら売れませン!w

 例えば、学生さん。特に、高校生くらいの方がサークル出展した事を考察するに、明らかにお金(資金)がないのは想像に易いですから、コピー本でも致し方ないとは思います。しかし、如何にも10部は少ない。仮に、1冊当たりのページ数を増やし、それなりに分厚くしたとしても、平積みでは高々知れています。こんな状況では、一般参加者の皆さんに“素通りしてください”とお願いしているようなものです。一般参加者の皆さんは、サークル主が大人であろうと未成年であろうと、知った事ではありません!若いコが頑張ってるから買ってやろう、なンて殊勝な方はおりません。コミケは文化祭とは違うンですね!w

 前回記事でも触れておりますが、同人誌の中身が全て白紙であったとしても、ちゃんと製本したものであれば、少なくともわたくしであれば20部(30部はさすがにキツイか?w)は捌けます!wしかしながら、コピー本ともなるとハードルが上がります(ま、売れっていわれたら売るけどサw)。

 なにせ、コピー本は見るからに“安い”!勿論、それでも売れるには売れますが、やはり限度があります。今ではコピー本ですら書店で委託販売してくれますから、そこまで悲観しなくても良いですが、とは云え、売れ行きは厳しいでしょう。

 理由は単純で、ご自身が買い手と考えた場合、それを手にするか否か、って話です。

 100円/200円で売るのかも知れませんが、コミケというお祭りにおいて、消費者(購入者)は200円も1,000円も2,000円も、あまり変わりません。欲しくなければ、どンなに安くても買いません。特にそれが趣味であれば尚更です。極端な話、欲しければ10,000円でも買いますし、いらなければ100円でも買わないのです。

趣味というものは、金と労力を惜しみません。これは万人とはいえませんが、大半の者に共通する認識です。つまり、手持ちの予算の範囲内であれば価格の高低は、購入意欲における最大指標たり得ません。

 頒布数ではなく、参加する事に意義がある、と考える方であっても、最低50部は刷って(作って)おきましょう(前回記事にあるように、わたくしとしては初参戦時の発行部数は100部以上を推奨しております!w)

 コピー本10冊で参加した場合、その無意味さを理解すべきです。

 仮に、完売したとして、それが一体、ナニを意味するのでしょうか?次に繋がる訳もなく、反響がある訳でもなく、単にお祭りに参加しただけです。であれば、サークル参加の意味はなく、一般参加で全く問題ありません。その程度なンです。

 ぜひ、覚えておいて下さい。

初心者サークルの少部数発刊による完売は、単なる見込み顧客の機会損失でしかありません。三千部、五千部刷って完売するとは訳が違います。

極端な発行部数の少なさは自信のなさの裏返し

 なぜ、10部なンですか?なぜ、コピー本なンですか?

 それ、明らかに、ご自身の作った同人誌に対して“自信”がありませんよね?

 自信のないモノを、人様に売りつけるつもりですか?こンなもの売れない/売れるはずがない、そうご自身が思っているような創作物を、他人に売りつけるつもりですか?

 自信がないわりに、随分と傲慢じゃないですか?

 まず、始めにいっておきます。

 1円でも値をつけた時点で、それは“商品”と同じです。

 そもそも価値がない(0円)としたら、無料配布すれば良いのです。要は、コピー本10冊を“無償配布”するつもりであれば、なんら問題ありません!

 しかし、50円でも100円でも値をつけたのあれば“自信がない”とは言わせません!なぜなら、仮に趣味であったとしても、それは商品に近しい存在だからです。

 そして、そもそも自信がないのであれば、コミケにサークル参加などしなければ良いのです。

 お分かりですか?

 アナタがサークル参加しているという事は、一方、サークル申込で落選したサークルさんもいらっしゃるのです。勿論これは運不運ですから致し方ありませんが、頒布すべき創作物も人様に誇る作品もないのであれば、参加すべきではないのです。他に、もっとヤル気のあるサークルさんが参加した方が、余程盛り上がる訳です。

 勿論、そんな事を一サークルが考える必要はありません。しかし、自分自身が自信も持てない創作物なンて、果たして欲しがる方はいらっしゃるのでしょうか?正直、疑問です。

見映えを意識しなければ絵も上達しない

 小説での参加なら兎も角、もし、アナタが絵描きとしてサークル参加していた場合、コピー本10冊の平積みが、如何に“見映え”が悪いか、意識しなければなりません。

 何故なら、“”というものは、常に見映え、要は絵作り(画作り)を意識して描き上げるものだからです。これはイラストでも漫画でも同じです。

 絵というものは、他のあらゆる創作物の中でも、最も素早くユーザーに訴求する事のできる視覚印象効果をもたらすからです。

 スカスカのサークルスペース、ディスプレイのしょぼさ、コピー本の作り、発行部数の少なさ、どれをとっても見映えが悪いです!

 そンな見映えの悪さは、創作物そのものの見映えを邪推させてしまいます。丁寧に、上手に、真摯に、マジメに取り組ンでいたとしても、第一印象が悪いと一般参加者は、手にも取ってくれません!

 コミケは、ネットのように誰しもがほぼ同じような見映え(閲覧環境)にある訳ではありません。壁際にあるサークルが大手サークルだと誰しもが分かるように、行列のできているサークルが人気者だと察するように、凝ったディスプレイのサークルに感嘆するように、サークルスペースの有様を一目見るだけで、概ね理解します。

 コピー本10冊を自身の手作業で行う(そんな時間があるの)なら、アルバイトをこなしてでも資金を作り、製本のプロ(印刷業者)に任せましょう。

 印刷会社に任せるという事は必然、納期があります。納期がある事を意識すれば、商業プロの絵描きにとって当たり前の“〆切”を意識する事ができます。〆切を意識すれば、特定期間内に他所様に見せるだけの最低限のクオリティを出す(維持する)テクを身に付けるべく努力します。つまり、絵を上達させる基礎を学ぶ事ができるのです。

 使うべき労力を適切な箇所に使う、これが絵描きの基本です!

内容が良ければ売れる?内容の善し悪しは誰が決めるの?

 内容が良ければ売れる、これって大昔からいわれているので、今更改めて語るのも馬鹿馬鹿しいのですが、“妄想(負け惜しみ)”です!w

 美味い飯屋が繁盛するのではなく、繁盛している飯屋が概ねイイとされるのです(勿論、これも正しくはありませんがw)。

 若い世代の方はご存知ないと思われますが、かつて、『ビデオ戦争』と呼ばれるビデオレコーダーにまつわる規格争いがありました。簡単にいうと、VHSvsベータマックス、のシェア争いです。

 品質に関しては後者ベータマックスに軍配が上がりますが、実際にシェアを奪ったのは前者VHSなのです。

 クオリティの善し悪しがそのまま販売数に結び付くとは限らない、これがマーケティングの基本です。

 同様に、内容の良い同人誌が内容の薄い(悪い)同人誌に勝てるとは限らず、往々にして内容の善し悪しと頒布数は比例しない、という事です。

 そもそも、内容が良いって、誰が決めるンですか?

 自身の同人誌は内容が良いから売れる筈なンてしょーもない妄想、ヤメタ方が無難ですw

 大体、内容が良いとご本人が思っているなら、なぜ、コピー本10冊だけなンですか?w

 矛盾してますよね?

 そういう事です!

 筋が通っていないンです!

 筋が通らないモノで人様を納得させるのは至難の業です。自身の行動に矛盾が生じている時点で、その不自然さは必ず第三者にも伝播します。

 兎も角、自分の作った同人誌は内容が良いなンて思わない事です!

 正直、度し難い、ですw

内容の善し悪しは読者(購入者)が決めます

 同人誌の内容の善し悪しは、購入者が決めます!これが絶対条件、鉄則です。

 購入者がダメといえばその内容はダメであり、納得すれば及第点、気に入ってくれればリピーターとなり、アナタのファンになってくれるのです。

 ここ迄で気付いた方、アナタは聡明です!

 そう、読者(購入者)が決めるという事は……つまり、売っている(頒布している)必要が生じるのです。

 売れない/頒布できていない時点で、読者(購入者)はいないのですから、内容云々を語るのは烏滸がましいのです。

 未読の同人誌を見る(確認)する為には、サークルスペースで手に取って読ンでもらう必要があります。いわゆる、立ち読み、です。

 つまり、立ち読みすらして貰えない状況の場合、内容の善し悪し云々など、下の下以下、となる訳です。

仮に内容が良かったとしても……

 仮にアナタの同人誌を手に取って目にして貰い、その内容が良かった(気に入った)としても、必ずしも購入してくれるとは限りません!

 例えば、購入予算を超えていた/大荷物過ぎて持ち帰れない/悪くはないが買う程でもない/コピー本(中綴じ)じゃなぁ……etc..

 様々な要因から、購入に至らない(成約しない)ケースも往々にしてあります。

 そうです、内容の善し悪しは、決め手たり得ない、のです!

 勿論、内容が良ければ良いに越したことはありません。

 ですが、内容の善し悪しが購買に直結する訳ではありませんから決して勘違いしないよう気を付けましょう。

内容開示と価格表示

 既にここまで読み進めてきた皆さんならご承知だとは思いますが、同人誌の内容についてとその価格を明示する意味そのものが、“些細(些末)”であることにお気付きかと思います。

 同人誌そのものをビニールパッケージで覆ってでもいない限り、基本立ち読み可能な筈です。その内容がイラスト本なのか漫画本なのかはサークルそれぞれではありますが、別途サマリーを用意し、それをディスプレイの一環として掲示したところで、実物を手にとって見る事ができるのであれば無意味です。

ROM作品であれば概要一部をプリントアウトし、開示しておくのも一つの手ですが、イラストや漫画の同人誌であれば特段必要ではありません。コミケ会場は本屋ではありません。

 そして、価格表示も特別意味をなしません。

 勿論、基本的に頒布物の取引価格を掲示するのは当たり前だとしても、コミケに来場している方々は、コストパフォーマンスを気にして同人誌を購入している訳ではありません!

 不要であれば50円でも買いませんし、欲しければ1万円でも購入します。いわゆる、日常的に普及している商品を購入しに来ている訳ではなく、お目当ての作品を購入しに来ており、また、一期一会のお宝発掘に来ているのです!!

 コミケでは無償配布もあります。価格の明示は、サークル主や売り子に幾らであるかを尋ねる手間を省くだけに過ぎず、購入の決め手にはなり得ません。

 概要紹介や価格表示はあくまでもディスプレイの一環、一番大事なのはサークルスペース前に立って貰い、同人誌を手に取って見てくれる事です。サークルスペース前に立ち止まって貰える事が肝要であり、商品説明(同人誌のあらすじ)や価格帯の手頃さではありません。

原価を考えるべきか否か

 原価計算する事の意味があるのかないのか、と申し上げたら、まず間違いなく、不要、です!

 アナタ自身がその同人活動や同人誌頒布そのものを“商売”にしているのであれば、これが一番大事になるはずです。

 しかし、よくお考え下さい。

 コミケへのサークル参加の基準は、極度の商売っ気を出さない事が前提です。営利団体である法人の場合、サークル参加はそもそもできません!つまり、基本は趣味の範囲となる訳です。

 実際、同人誌の製本やグッズ制作だけがコストではなく、そもそもそのコンテンツ制作、要は絵を描く労力に対する対価や交通費、通信費、参加費、諸費を鑑みれば、価格は高騰します。

 ですが実際、無償配布するチラシや冊子、名刺、備品の類が存在し、これを原価として計算した上で頒布物の価格帯を定めているケースは、ほぼありません。なぜなら、それが趣味だからです。

 今後の同人活動そのものに影響を与えてしまう程、大赤字を垂れ流すようであれば少しは考えるべきですが、趣味と考えればお金と時間を浪費するのが常ですから、原価計算する程のものであはありません。

 そもそも、冒頭のアドバイスに従うのであれば、コピー本10冊です。これにかかる費用など、たかが知れています。この程度であれば、製本にまつわる原価より交通費や食費等の雑費の方が余程、高くつくのではないでしょうか?

 初心者サークルが考えるべき優先順位は、少しでも多く頒布し、後の同人活動に繋げる事です。それが可能であれば、原価割れなど痛くも痒くもないはずです。それが趣味であり、初心者同人サークルなのです。

総括

 如何でしたか?

 謎の勘違いアドバイスを賜ったおかげで、そのアドバイスの辻褄が合わない/見当違い/筋違い、というのが返って分かって頂けたかと思います。

 初心者サークルへのアドバイスにおいて、極端に規模を抑えるような内容は、リスクを排除しまくった後ろ向きなものが多く、同人活動の継続性やその有用性、発展性、将来性に迄言及していないケースがもっぱらです。

 赤字を最低限度に抑え、完売という達成感/充実感のみを伝える助言の類は、一回限りのスポット参戦のサークルのみであり、同人活動を継続し続ける方や絵描きとして益々成長するであろう皆さんへの冒涜に近しいものです。

 正直なところ、赤字を極端に抑えたければ、そもそもコミケのような同人誌即売会には参加せず、ネット販売オンリーにしておけば良いだけです(印刷代や交通費、食費他、多くの雑費を抑える事ができます)。

 では、なぜ、コミケに参加するのですか?

 それは、日本最大級の同人誌即売会コミケだからこそ起こり得る特別な出会いの可能性があるからです。ネットでは決して出会う機会の訪れなかった方が、アナタのサークルスペースの前に偶発的に訪れ、アナタの同人誌と出会し、気に入って貰える可能性、そのセレンディピティこそが醍醐味です。

 これを忘れず、後ろ向きな考えでコミケに参加するのは止めましょう!

 初心者サークルが初めて刷る同人誌の部数については、以前の記事「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」をご確認下さい。

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現代最凶の呪術絵師“性帝”プレゼンツ

長い事プロの世界で絵描きをしてますが趣味の世界における同人サークルは初心者のひよっこです♪

壁サークルを目指し、ついでにSnow Manの佐久間君が買いに来てくれる事を目指し、日々精進して参りますのでよろしくねぇ~♡

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