始めてコミケのような同人誌即売会にサークル参加する時、頒布物(同人誌やグッズの類)のお値段っていくらぐらいに設定すれば良いのか、ほんの少し考えますよね?
また、既にサークルとして何度も即売会に参加しているものの、いまいち、頒布物の値付けが上手くいってないのではないだろうか、と疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一般参加者(購入者)として同人誌即売会に出向いていれば、各サークルの頒布物の値段を実際に目にしてきていると思いますので、なんとなく“価格帯”の察しはついていると思います。
しかし、ここで注意が必要です!
なぜなら、一部の同人サークルを除いて、値付けについて何の指標も効率性も考えていないケースが殆どです。
ついでに、同人活動におけるノウハウ系アドバイスの類によく見られる“原価”云々が、的外れ過ぎて意味をなしておりません!
今回は、同人誌即売会という、特異なマーケットにおける頒布物の値付け、その仕掛けと最適化についてお伝え致します。是非、ご参考下さい。
大前提として
コミケやコミティアのような同人誌即売会は、大前提として“趣味領域”です。
一次創作なのか、二次創作なのか、大きなジャンル区分として頒布物の種別は異なりますが、基本的には趣味の範疇になります(※1)。
一次創作、つまり、オリジナル作品であれば商売にしても問題ありませんが、この場合、即売会はPRの場として活用するのがベターです。
※1:特に二次創作やコスプレの場合、過度な商売っ気は全面的に禁止です。著作権の都合上、趣味範囲を逸脱しては法的な問題が発生する恐れがありますから、即売会運営者によって禁じられています。
前提として趣味の範疇に留まる同人誌のような頒布物の場合、採算性を度外視しても問題ありません。なぜなら、趣味は自身の興味対象に対し、“時間”と“お金”、“労力”を浪費するモノだからです。
すなわち、基本的には、全ての頒布物を〔無料〕で配布しても問題ない、というのがベースにあります。
故に、無料(無償)配布、しましょう♪
え?ダメ?
しょうがないにゃあ・・
1.まずは、制作費、から値付けしてみましょうか?
よくある“いまいち”な同人系アドバイスの一つに、原価計算、を語る方、多くいらっしゃると思います。商業ベースでの基礎中の基礎故、基本的には間違っておらず、常識と云えば常識ですが、如何にも“机上の空論”です。
理由は様々あります。
まず、同人誌の原価をどう解釈し、どこまで適用させて原価とみなすのか?ここをすっ飛ばした暴論、それが原価計算を元にしたアドバイスの類です。
原価には、同人誌の印刷代の他、絵を描く労賃、出展費、旅費、宿泊代、設営什器購入費、運送料、駐車料、ガス代、PR費、人件費、食費、各手数料、雑費他、様々な諸費(経費)が発生します。
こんなモノをまともに計算し、且つ、商業ベースで黒字を確定しようとしたら、同人誌1部当たりの小売単価、数千円~数万円になってしまいますよ?特に、頒布数(実売数)の少ない弱小サークルの場合は特に!w
以前投稿した記事「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」を踏襲し、最低100部刷る事をベースにお話し致します。
商業ベース、要は法人のような営利団体の場合、業種やサービスにもよりますが一般的に原価3割等と云われております。つまり、営利目的ならば、この当たりが原価になる訳です。
しかし、前述のように、一般的に同人誌即売会は営利目的での参加を禁じておりますから、いわゆる原価3割の法則はタブーです。
例えば、100部の印刷費が3万円だった場合、実売数50部(半数)とし、残部を七掛けで通販委託したとします。小売り単価を1部500円と設定してみます。この場合、全部捌けて4割の儲け、全てが捌ける迄はかなりの時間がかかるでしょうから、ほぼ完璧に趣味です。
仮に、1部1,000円とした場合、原価3割未満、上述の条件下ですと180%強の儲けとなり、一見、営利目的のように見えますが、実際には100部程度の場合、諸経費の割合が総売上に対し、比率的に負担が大きく、凡そ総合的にはトントン(赤字にはならない境界線)くらいだと思われます。すなわち、この単価であっても営利には程遠い事になります(頒布持込数が100部とした場合)。
上記を踏まえると、制作費のみを主眼とした原価計算から導くごく一般的な同人誌やイラスト本の単価は、500円~1,000円が妥当になります(※2)。
※2:頁数が多い、豪華な装丁、附録、おまけ等、状況によって制作費も上がりますから単価も高くなります。
しかしこれは、以前の記事「少部数はダメ!少なくともコミケではッ!」の中でも触れておりますが、まったく意味がありません。
そこで、下記をご覧下さい。
2.荷物(運搬)量/取扱貨幣数から値付けする
有償での配布ともなれば、そこには必ず金銭の授受が発生します。
全てのやり取りを電子決済(クレカやデビット、電子マネーの類)で執り行うのであれば、いくらの値をつけようが無関係です。有償頒布における電子決済の場合、クーリングオフの対象外ですし、海外からの一般参加者との取引では有用性が高いです。
当サークルでも電子決済は当然用意しておりますが、現状においては“現金”での取引が殆どではないですか?
この現金取引の際に重要になってくるのが、キャッシャー業務に必須となるセーフティボックス、いわゆる可搬式携帯用金庫、持ち運び可能な小型の貨幣入れ(手提げ金庫)と釣り銭です。
常設の店舗であればレジスターで済みますが、即売会では運搬が楽な手提げ金庫が必須となり、当然、お釣りが発生する可能性が高い為、ある程度の釣り銭を用意しておく必要があります。
実際に私が使っているのがコチラ(グレーの方)です。
但し、私の場合、即売会では常に2スペース分(長机1つ分)で出展してますから、下に紹介する1サイズ下の金庫の方が使い勝手が良いと思います(実際、コチラも使っておりました)。
即売会でのサークル・スペースは大変手狭な為、コンパクトなサイズの手提げ金庫がベターです。
上記で紹介した小さい方の金庫でも紙幣200~300枚は余裕で入ります(但し、紙幣を押さえるストッパーが機能しない程、溢れかえりますがw
さて、有償頒布に関わるキャッシャー業務において現金取扱における設備(道具)は上述の手提げ金庫だけで済みますが、既に記載済みの“釣り銭”が重要になってきます。
一般的に、同人誌即売会で最もよく使われる貨幣は、千円札です。
これは即売会にいらっしゃる一般参加者、つまり、お客さんが“分かっている”からの配慮によります。お客さんは、千円札でのやり取りが最もスムーズに取引できる事を知っているので、敢えて千円札に両替して即売会に臨んでくれています。
これを踏まえ、即売会で流れる貨幣の基準を、1,000円、と考慮します。
この場合、現金取引上、最もスムーズな金銭のやり取りは、この千円を基本とした1アクションとなります(千円札を受け取り、頒布物を手渡す⇒ワンアクション)。すなわち、お釣りが発生した場合、そのアクション数が増える事になります。
あまり当てにならない原価計算からなる値付け、これを営利目的ならざる価格帯に照らし合わせた先述の価格帯(500円~1,000円)と照合した場合、最もアクション数が少ないのが1,000円、その次にアクション数が少ないのが500円(※3)、となります。
※3:単価1,000円の場合、千円札を受け取って頒布物を手渡す⇒1アクション
単価500円の場合、千円札を受け取って、お釣り五百円玉を取り出し、頒布物と共に渡す⇒2アクション
もし、単価が600円の場合、千円札を受け取った後、百円玉4枚を数えてから釣り銭を渡す事になります。
要は、アクション数が増え、1回当たりの取引での頒布物受け渡しに、そのアクション分時間がかかる事を意味します。
当サークルは間違いなく弱小サークルなのですが、その弱小サークルの中では比較的頒布物の取扱量が多く、それだけ取引量が増えますから、この頒布物受け渡しに時間を割くのは得策ではありません。
仮に、これからサークル活動を始める/そんなに売れない、というサークルさんであっても、頒布物の受け渡しに時間を割くより、お客さんとのコミュニケーションや呼び込み、声掛けにより時間を割いた方が有効です。
ですから、非営利目的での原価計算から試算した小売単価の幅から、取扱貨幣量から逆引きし、且つ、時短(タイパ)を考慮しますと、自ずと頒布物の価格が定まります。
例1:100部3万円の制作費に対し、非営利範疇の価格帯500円~1,000円当たりを導き、実際に即売会スペースで取引を行う際の金銭持込量から逆引きすると、500円/1,000円の二択になる、という事です。
3.釣り銭から値付けする
当サークルの場合、効率化をベストとして即売会に臨んでおりますので、頒布物の単価は全て500の倍数、且つ、最小単価1,000円、にしておりますが、ここ迄極端な効率化から価格帯を決めているサークルさんは……まず、いませン!!w
実際、コミケで他サークルさんの頒布物を見てみますと、無償の頒布物を除き、コピー本であれば50円/100円/200円、印刷会社に製本を頼んだ同人誌で300円/500円/700円/800円/1,000円/1,200円/1,500円/1,800円/2,000円/2,500円/3,000円等々、様々な価格が並んでいます。
コピー本、印刷から製本までをサークル主がセルフで行った中綴じ、業者に依頼した製本であっても中綴じ/無線綴じ、フルカラー/モノクロ、様々なオプション等がある上、そもそも頁数(ボリューム)やクオリティ(出来不出来)他、サークル主の思惑次第で色々な価格での頒布物が存在します。
実際、どのような価格/単価であっても良いのですが……混乱を避けつつ、ミスを減らし、身軽を考慮した場合、釣り銭からの値付け、という考え方もできます。
前項の「荷物(運搬)量/取扱貨幣数」とも被りますが、現金取引の場合、ほぼ確実に釣り銭を用意しておかねばなりません。
お客さんは即売会で頒布物を購入する事を目的として来てますから、両替済みの千円札を確実に持ってはきておりますが、その枚数には限度があります。財布の種類にもよりますが、二つ折りで30枚、長財布で100枚が限界ではないでしょうか?(※4)
※4:普段使いであれば、この半分くらい迄が目安ですが、即売会という電子決済が使いづらい場に来ておりますからサイフの中はパンパン、且つ、金融機関の現金封筒に別途入れて来ている筈です。
お客さんの予算は個々人によりますから千差万別ですが、貴方や私のサークル目当てで訪れたお客さん以外の場合、既に“両替分の予算”が尽きている事があります。
ウィンドウショッピング的に各サークル・スペースを見て回って衝動買いなされる方の場合、この可能性が高く、中には“両替目的”の方もいらっしゃいます。
これらのケースを考慮した場合、つけてはいけない価格、というものが必然的にできます。
それが、十円単位/200円/600円/700円/1,200円……のように、多くの釣り銭が必要になる価格です。
例2:仮に、頒布物に200円の単価を設定したとします。
百円玉2枚で支払ってくれた場合、何の問題もありません。しかし、五百円玉を出された場合、お釣りとして百円玉3枚を手渡す必要があります。この場合、早い段階で釣り銭不足に悩まされます。
つまりこの場合、300円、と設定した方が幾分マシ、となります。
4.税金を考慮した値付け
多分、ここに触れているアドバイス系、ほぼないと思います(私が見てないだけで十分あり得ますが)。
コミケのような非営利目的である事が大前提の即売会、営利目的も許される一次創作オンリーの即売会問わず、有償頒布を行った場合、必ず付きまとう問題がみンな大好き(←?)“税金”です!w
あまり詳しい事は書きません。何故なら、税金関係の詳細を書くと、テキスト量膨大になる上、投稿数も凄まじい数になる為、そンな時間、わたくしにはありませンw
故に、掻い摘まンでちょっとだけ。
副業所得が年間20万円未満の場合、確定申告は不要です。但し、住民税は申告しなければなりません。
この20万円というのは、収益そのものではなく、経費を差っ引いた残額、要は利益分です。
恐らく、始めたばかりのサークルや弱小サークルの場合、利益は皆無だと思いますので住民税だけ考慮すればOKです。
利益がトントン、或いは、ちょっと利益が出た場合、確定申告しましょう。
え?確定申告なンてした事ないから分からない?
そうですね、私のような経営者/実業家の場合、コレもう必然なンで当たり前にやってますが、ごく普通にお給料を頂いてらっしゃる方にとってみれば、ピンとこないかも知れません。
そこで考えるべき事がこの、税金を考慮した値付け、です。
以前の記事「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」に書きました通り、これからサークル活動をする皆さん、そして、既にサークル活動をしているものの弱小サークルに分類される大半の同人サークルの場合、まず、頒布物100部を基準と考えて下さい。
そして、本記事でも既に各処で触れておりますが、非営利目的としての原価計算/持ち運べる量/釣り銭等から導き記載した500円~1,000円の単価を値付けした場合、その最大収益額は10万円、仮にコミケの夏冬2回のみ参加した場合、最大20万円となります。
最大20万の収益という事は、経費や委託販売を使った場合、絶対に20万未満になります。
お分かりですか?
そうです、本記事で解説済みの値付けにしておけば、住民税は兎も角、所得税の確定申告は“不要”になります。
いつも通り、年末調整を行っていれば問題ありません。
従って、年間20万円未満の利益に抑える事が値付けのベースになります。
それでも住民税はかかるよね?普段、給与から天引きされてるンだけど、どーするの?
はい、同人活動分だけ“普通徴収”にして直接納付しましょう。この当たりは自治体によって詳細が異なりますので、お住まいの自治体に相談しましょう。
特に、副業禁止、の法人に正社員としてお勤めの方や公務員の方は注意しましょう。
註1:副業じゃなく、趣味分野なンで問題ないと思いますが念の為w
注意して頂きたいのは、フリーランス的な絵描き、特に同人上がりの作家等が知人にいた時、税制におけるアドバイスを受けてはいけません!殆どの者は、納税に関してガバガバです!w
税金が気になる方は直接、税務署で話を聞くか、額面が大きいようでしたら税理士でも相談して下さい。本記事程度の額面であれば、負担も少なく、スムーズに行え、今後の同人活動において有意義に働きます。
やってはいけない値付け
やってはいけない、というよりは、商売と違って試みても意味ないよ、という値付けをご紹介しておきます。
是非、ご参考下さい。
1.値引き
閉会近く、或いは、お客さんが捌けてきた時間帯(PM3:00以降)、頒布物を値引きして配布するのは、ま~~~ったく意味がありませン!w
これ、当サークル始動後、私自身は一度もやってはおりませんが、数少ない経験の中で、TRPGサークル仲間が出したオリジナル・ルールブックの売り子をした時、お客さんが少なくなった時点で値引きして投げ売りした事があります、半額、とかでw
この時、売上とか私自身とは無関係で一回限りの参加の為、捌く数を重視したので値引きして少しでも実売数を増やす事を目指しましたが、自身がサークル主で同人活動を継続して実施する場合、即売会での値引きは全く意味をなしません。
スーパーでの見切り品ではありませんから、20%引き/40%引き/半額云々の値引きは、お客さんにとって何らクリティカルな消費衝動にはなりません。
値引いて捌こうとするくらいであれば、通販取扱業者に委託販売を任せた方が遙かにマシ、というよりベターな選択です。
同人誌即売会での頒布物は、必需品でも何でもない“嗜好品”の類ですから、値引き/安売りは意味がありません。
仮に、値引き/安売りを実施する場合、それは委託販売せず、自身で持ち帰る際、少しでも量を減らす目的のみ、にしてみて下さい。私個人としては、決してオススメ致しません。
2.セット販売による特売/バンドル販売
これ、前回(C105)で私、やりました。
結果、単に利益減ですw
私が実際に行ったのは、既刊全てと新刊、全てセットで購入して頂いた場合、積み上げ価格から500円引き、というものです。
実際にやってみましたところ、単に全部購入して頂いた際、500円分収益が減るだけでしたw
既刊/新刊問わず、全てを購入なさってくれるお客さんは、気に入ってくれたから全部購入してくれています。そもそも、同人誌なンてモノ、気に入らなければ買ってはくれませんw
全部購入するって、結構な額になるワケです。その出費を厭わず、購入してくれるお客さんは、値引きではなく、附帯サービスをもって接する方が遙かに良いのです。
例えば、無償配布できるモノをお渡しする/サインを描く/心からの感謝の言葉を述べる云々……
金銭的な負担を軽減する意味合いとしての特売/セット価格は、止めておきましょう。
ついでに、ヘビーなタスクを伴う付加価値的特典や制作費のかかる無償配布のバンドルも止めておきましょう。
いわゆる、特典商法、というモノですが、企業ブースでの営利目的の商品であれば兎も角、同人サークルの頒布物における特典商法は……特典、ではありませン!w単なる、抱き合わせ、の類が殆どなので、マネする必要がありません。
セット販売は、ヤメましょう!w
註2:同人誌のナンバリング作品の場合、尋ねられる場合があります、続きモノですか、と。
続きモノであれば、その通りお答えすればよく、続きモノでなければ、違います、と答えましょう。ここで嘘をつくのはNGです!
私も幾度となく、続きモノであるか否か尋ねられましたが、No、とお答えしております。
続きモノですか、と尋ねてくれるお客さんは、既刊含め複数部を購入するつもりで質問しています。続きモノであればそう答え、どこから読み進めれば良いかお伝えすれば良いのですが、続きモノでなかれば無理強いするマネは絶対に避けるべきです。
委託通販をしておけば、気に入ってくれれば通販で購入して頂ける可能性の高いお客さんですから、一期一会で煙に巻くような軽薄なセールストークをすべきではありません!
3.既刊の安売り/旧バージョンの安売り
これ、コミケに2度めの参加(C103)際、わたくし、やりましたw
はい、単に収益減です!w
これは重版をかけた時に陥り易いミスです。
重版をかけた場合、以前のモノは残部なので、サクッと捌きたい、と思いがちです。それ故、安売りをしますと、何も知らない方からすれば、そっちでいいや、となります!w
同じように、委託通販やダウンロード販売等を活用している時、極端な安売りセール(90%引きや1円セール)の類は、無意味、です!
というのも、極端な小銭での購入者の場合、希望小売価格帯での消費者にはなり得ません。根本的にターゲット層が異なる為です。過去作を1円でも2円でも足しにしたい、と願うより、既存顧客を満足させつつ、新たな顧客を招き得る新作を生み出す方がクリエイター的には有用性が遙かに高くなります。
頒布物のターゲット層については、また別の機会にでも投稿しますのでお楽しみに!w
4.他サークルとの合同企画/買い回り企画
同ジャンルの第三者同人サークルとのコラボや他サークルの頒布物との共同企画による購入者特典、あるいは、抽選サービスや連動サービス等、いわゆるコラボ企画は、ほぼ“空転”するので避けましょう。
この類が多少なりとも成功する可能性があるのは、中堅または準大手サークル以上の認知度が必須、且つ、事務処理が煩雑になる為、手間に対して実利は乏しい、と云わざるを得ません。
少なくとも、同人活動における頒布物での他者とのコラボによるシナジー効果は、乏しい、と断定できます。
趣味分野における顧客の消費量(出費)は、目標となる対象が単一の時が最大、興味対象が複数となってその数が増えれば増える程、一対象当たりの消費額は目減りします。当然ですよね?
仮に、AというサークルとBというサークルがコラボした時、AのファンはAに出費する事は厭わないものの、BのファンでなければBとのコラボへの再出費意欲は低下します。
また、A/B共にファンのコンシューマの場合、そもそもAにもBにも出費しますから、殊更、A/Bコラボへの追加出費ではなく、単にA、乃至はBへの出費としてコラボ作品を購入するだけですから追加出費という考え方ではありません。双方のファン、もしくは、一方の熱心なファンへのコラボ・アプローチは、一人当たりのファンからの出費を増額させる事が目的であり、消費者数の裾野(販売数)を増やす目的ではありません(消費単価を上げる目的)から、各々のコア・ファンでもないお客さん相手ではコラボ企画そのものが意味をなしません。
同じようなジャンル/カテゴリに属するからといって、弱小サークルがコラボしたところで収益額は然程伸びず、下手すると利益率が低下するだけですから意味がありません。殆どの場合、恩恵どころか影響そのものすら存在せず、企画と労力、処理の煩雑さだけが微増します。
これはYouTuber等のストリーマーによるコラボと同じで、個々の配信者に一定以上のコア・ファンがついていないとコラボによるシナジー効果は得られず、寧ろ、ライトファンが視聴を止める事態を招き、配信者同士による身内ネタという寒々しい結果を招きます。
同人サークルも全く同じで、知名度の乏しい弱小サークルが集えば集う程、身内ネタ臭が強くなり、最悪の場合、個々のサークルについているファンですらコラボ作や合同企画をスルーする場合もあります。
従って、合同企画や買い回り企画等による特定のサービスにおける値付けは全く無意味であり、仮に収益そのものが若干増えようとも、その労力と処理の増加に加え、利益率の低下を招くだけなので手を出すべきではありません。
絶対に、避けましょう!
さいごに
正直、頒布物にどのような値段をつけても問題ありません。何故なら、趣味、だからですw
タダ(無料)でもいいですし、100万円でも1億円でもいいワケです。
しかし、是非、ここだけは覚えておいて欲しいのは、商売とは違う、という点です!
商売っ気を出しても全く問題ないのですが、しかし、いわゆる通常の市場取引とは異なり、趣味界隈ならではの特異な環境下での商取引である事を認識しておくべきです。
時折、コミケでも「釣り銭忘れた!」等と他サークル主が叫んでいる姿を見掛けますが、正直、意味が分かりませンw
同人即売会最大スケールの大舞台に臨み、その根幹に関わる釣り銭を忘れるという抜かり具合もですが、そもそも釣り銭が膨大に必要となる値付けに至る浅はかさにも辟易します。
当サークルの場合、コミケに参加する度、釣り銭の両替をしに行くなンて事は、決してありません。
最小単価1,000円、且つ、500の倍数で値付けしておりますから、即売会終了後の五百円玉と百円玉を一定数残しておけば、次回参加時、わざわざ両替しに行く必要すらありません。
大凡の実売数や売上高を推測し、釣り銭が発生し得る取引上での確率を想定しておけば用意しておく釣り銭数は予想でき、その貨幣は手をつけず保有(金庫内に保管)しておけば、両替という無駄な労力を費やす必要がありません。
例3:当サークルの場合、持ち込むセーフティーボックス(金庫)に前回参加時の百円玉と五百円玉の一部をそのままにしておきます(大抵、貨幣が多過ぎになるので抜き取ります)。お釣りとなる千円札は一枚も入れておりません。
開場(10:30)から、万札や五千円札を出してくるお客さんが現れる前に千円札は貯まりますから、それで釣り銭は賄います。
C102で初出展、以後、コミケには連続で5度出展しておりますが、釣り銭が足りなかった事は一度もありません。
釣り銭が足りなくなってしまうのは、釣り銭をより多く必要とするような値付けをしているからなのです!
同人誌即売会は、一般の商取引や企業ブースでの売買と異なり、コスパとは無縁です。
一般参加者であるお客さんもサークル主も、一切コスパで動いていません。何だったら、コスパは“最悪”です、趣味ですからw
一部の中堅サークル以上の銭ゲバを除き、即売会参加者は一般の方もサークル運営者も消費者サイドに属しますから、そこ迄細かな計算を伴って値付けをする必要はありません。
寧ろ気にすべきは、タイパ、効率化です。
効率性を意識すれば、事務処理はよりシンプルになって行きます。つまり、準備や作業等の労力が減り、ミスも少なく済み、頒布に注力する事ができます。
一部でも多く頒布する、少しでも多くの人に見て貰う、しかし、無理矢理捌く必要はない、それがベターです。
それが形となって分かるのは、即売会の帰りに“荷物が少ない”事です!
サークル関係者自身が、搬入/搬出際、必要最低限度の手荷物で済む、つまり、頒布物をほぼ持ち歩かない、というのが理想であり、当サークルも頒布物はほぼ自身では持ち込みませんし、持ち出しません。
頒布物の的確な値付けとは、こういった搬入出際の荷物量にも影響をもたらし、効率化/省力化に結び付きます。
タスクを減らす事が同人活動を行う/続けるにおいて肝要ですから、値付けもそこに紐付ける必要があります。
原価?完売?適正価格?コスパ?利益?
そンなものは、二の次!!!w
効率化!省力化!最適化!タイパ!満足度!コレが重要です♪
少なくとも、ここを押さえておけば、赤字にはなりません!w
ぜひ、覚えておいて下さいね♪
アリーヴェデルチ♪
ちゃお♡
初めてコミケに参加し、初めて同人誌を出版(発行)する時、一体、何部すればいいの? 昨年(2023年)の今頃(サークル参加当選後)、わたくしも思っておりました。 色々検索をかけて調べたり、コミケに詳しい(サークル参加ではな[…]
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