以前の投稿記事「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」同様、サークル初心者がコミケや同人誌即売会に参加する時、気になる点、それがサークルスペースやサークルブースの設営です。
昨年(2023年)の今頃、初めてコミケ(夏コミ:C102)に参加したわたくしも“ふわ~っ”と考えておりました(それなりに考え、準備して行きました)。
しかし、実際にコミケに参加し、その考えが甘かった(まだまだ煮詰めが足りなかった)事に気付き、次のコミケ(冬コミ:C103)では徹底的に是正しました!w
註:サークルスペースの設営、結構大事です!特に、初心者サークル/弱小サークルにとっては非常に重要ですから、是非、本記事を読んで活かしてみてください!!
はじめに(実例を踏まえて
まず、わたくしが当初考えていたイメージと実際のコミケ会場での状況を交えながら、より具体的に解説して行きます。
わたくしの場合、C102がサークル初参加で2スペース分で島中(島の長辺)、C103が二回目の参加で1スペース分で誕生日席(島の短辺)での頒布となりました(次回参加予定のC104では2スペース分で誕生日席)。このサークル・スペースの違いが当初、よく分かりませんでしたw
このサークル・スペースの広さの違いも大きく影響しますが本来、基本は同じとなります。
凡そ、わたくしのように、2スペースで参加する初心者サークル/弱小サークルは、ほぼいない、筈ですから皆さんはあまり気になさらなくて結構です(わたくしが変わり者なだけですw)
この1スペースというのが、実に“狭い”!w
会議用の長テーブル、学生/社会人の区別なく、大凡、皆さん利用した事があると思いますが、この半分のスペースって普通にノーパソ開いたり、資料を開いたりするには十分なスペースですが、この範囲内で同人誌頒布を行う場合、明らかに手狭です!
わたくしの場合、初回600部、二回目650部超を搬入しておりますから、スペース的に無理です!w
初参加時、2スペース分申し込んだ理由が、このサークル・スペースの手狭さ所以です。
しかしながら、これから初めてサークル参加する初心者サークルの皆さんや頒布数を抑えたサークルの皆さんは、1スペースで十分、です!
前回記事「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」の通り、頒布数100部以下であれば、その全部を平積みしても1スペースで事足ります。
ですが、初心者サークル/弱小サークルは、絶対に平積みしてはいけません!!!
平積みがダメな理由
中堅サークル(300~500部を黙っていても捌ける)や準大手サークル(放っておいても1,000部捌ける)ようなサークルは、平積みでも何でも構いません。知名度が違いますし、何もせずとも購入希望者が殺到し、必ず行列ができますから、もはやサークル・スペースのレイアウトやディスプレイなどに気をかける必要はなく、粛々と理路整然に、効率的な同人誌の頒布ができる事が重要だからです。
しかし、この記事をご覧にいらっしゃってる皆さんやわたくしのようなサークルが、彼等と同じようなアッサリとした設営をしていてはいけません!
図をご覧になってみて下さい。
高さ70cmの机に同人誌を平積みした時、一般参加者(お客様)の目線/視線は、かなり下がります。
一般的な歩行時の視線より平積みの位置は大分低く、視界内には入っていても「有効視野」には入ってません!
要は、見えてはいても認識していない、そんなイメージです。
コミケ会場内は大変混み合います。
特に開場時間から2時間程度は、一般参加者の皆さんは“目的”のサークルスペースを探します。
サークルスペースを探す場合、プリントアウトした会場図、あるいはスマホを見ながら移動する事がもっぱらで、現在地確認はコミケ運営が設置したブロック表示と、各サークルが展示した大判ポスターに記載されているスペース箇所の表示です。
人群れを回避しながら現在地を確認しつつ足早に移動する時、視線は地面に平行か、もしくは若干上、且つ左右をキョロキョロしながらアウトプットした紙かスマホに目配せしつつ移動します。
このような状況下にある一般参加者の皆さんに対し、高さ70cmの長机に平積みした同人誌の表紙部をしっかり見てくれる人など、ほぼ皆無です!
故に必要となるディスプレイは、“面陳列”一択になる訳です!
面陳列とは?
書店などにお勤めの方はご存知でしょうし、その名は知らなくとも多くの方が見た事のあるディスプレイ、それが面陳列です。
具体的には、ブックスタンド(ブックエンドではない)に同人誌を立て掛け、表紙部を前面に向け傾斜をつける手法です。
平積みが表紙部を上のみに見せるのに対し、面陳列の場合、視認距離が長くなります。表紙絵のアピールができる上、その視認距離が長くなりますから、移動中の一般参加者にも視認し易くなり、アプローチの可能性が高まります。
面陳列の良さは、ブックスタンドを使う事である一定の高さを出す事ができる点です。
これにより、平積みする必要性が減り、結果的に限られたスペースを有効活用する事ができます。
例えば、B5サイズの同人誌の場合、182mm×257mmの大きさになりますから長机の奥行き的に手狭になり、必要な小道具(手持ち金庫やモバイルバッテリー、コイントレー、筆記用具ほか)の置き場所に困ります。
同人誌の表紙(扉絵)をアピールしつつ、長机のスペースを確保し、頒布に必要不可欠な要素を確保する。これがコミケや同人誌即売会にサークル参加する際の必要最低限度の設営(レイアウト&ディスプレイ)となります。
しかし、これだけでは足りない!
さて、と……実のところ、ここまでは初参加(C102)時のわたくしも考慮済みでしたw
移動中の一般参加者に対し、できる限り、自身の同人誌をアピールしつつ、会計や必要なアクションに備え、限られたスペースを有効活用する。
そして重要なのが、ディスプレイに必要な小道具の搬入際の労力も当然、考慮済みです。
コミケ会場付近の専用駐車場からの移動/運搬、設営時の労力その他を考慮し、小道具を準備、選び抜いて参加した訳です。
しかしッ!しかしながら、これだけでは、ぜ~ンぜん足りませんでした!w
それが、見映え、です!!!w
サークルスペースの見映えを最優先
自分で言うのも何ですが、C102が初参戦となるわたくしのサークル、初参加のワリには、そこそこまともなディスプレイだったと思います(残念ながらお写真がない!w)。
しかしそれは、初心者サークル/弱小サークルにしては、という前提でのお話しです。やはり、随所に“しょぼさ”と“至らなさ”が目立つ、要は、いまひとつ、でした!w
100点満点中、30点。そンな感じです。
註:100点満点には絶対になりません。その理由は、ディスプレイ用具の搬入に限界がある為です。業者を使う事ができず、自前で搬入するには持ち込める用具に限りがあり、設営の手間も考慮すると妥協せざるを得ない為、実態があります。これ、絶対条件です!w
実は、この足りなさ、C102が終わってから気付いたのではなく、C102が開場する時点で気付きました。
それが、高さ、です!
高さってなんのコト?
初参加時、わたくしが用意した物は、オリジナルテーブルクロスやアクリルブックスタンド6つ、卓上スタンド3つ、スペース背後に立てる長スタンド3つ、値札立て多数ほか、色々用意しました。
自力で搬入できるディスプレイ用具としては十分、そう思ってました。
しかしッ!?
わたくしに足りなかったもの、それは――情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ、そして何よりも――高さが足りない!!
手狭なサークルスペースを有意義に使う為、また、お客様へのアプローチに面陳列を考慮、これだけでは圧倒的に足りない訳です。
それが、サークルスペースの高さ、つまり、長机部上空です!w
実は、ブックスタンドや卓上スタンドによる面陳列で一番高いところは、床から精々1m程度。1mの高さは、成人の腰の高さ程度。つまり、一般参加者の視線からは、まだ大分下に位置しています。
机の上の空間を活かし、縦に、高さを出して、より歩行者の視線の位置に対し、同人誌の表紙を合わせる。
高さにして130cm強。これで成人の胸の高さになります。このくらいの高さがあると、歩行中のお客様の有効視野に同人誌が見えてきます。
この高さを出す為に構想したのが、『いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)』です!w
長机の上の空間を活用し、少しでも多くの皆様にアプローチするという構想、その設営法を考えました。
いまは遙か理想の城
初参加のC102でのいまひとつなディスプレイを反省し、新たに構想した設営法を2回目の参加となったC103で実践してみました。
C102は2スペース分でしたが、C103は1スペースしか当選しませんでしたら丁度、長机半分、要はコミケではごく一般的なサークルスペースになります。
それでは、実際にわたくしがC103にて空間活用を実施してた状況をご覧下さい。
どうでしょうか?
本当はC102の時と対比できれば一番良いのですが、初参加時、写真を撮り忘れてしまいましたw
長机の高さが70cmですから、卓上の高さがそれ以上になっている事が分かると思います。後ろの大判ポスターを除き、長机上での陳列の高さは140cm~150cmはあります。
これくらいの高さがあると、一般的な歩行ベースにおいて視線を下げる必要なく、有効視野にディスプレイが飛び込んできます。
かなり騒がしいイメージですが、貧相さはあまり感じないのではないでしょうか?
自己採点は50点です!w
どうですか?
本当は周辺サークルの皆様との対比写真を載せると分かり易いのですが、さすがにマズイので単体ですからピンとこないかも知れませんが、いかがでしょうか?
コミケ参加2回目の初心者サークルとは多分、思わないのではないでしょうか?
レイアウトはそこまで凝ってはいません。
通常であれば、コイントレーなどを置くスペース的な余白を用意すべきですが、わたくしの場合、あまりその必要性を感じませんでしたので、多面陳列を優先しました。
実際に皆さんのサークルで設営なされる時は、お客様との接点箇所における余白部を一箇所、用意しておいた方が良いかと思われます。
有効視野を考慮しよう
実のところ、サークルスペース設営際、レイアウト的な見せ方/見え方が重要なのではありません。
設営における本質は、見えるか否か、です!
見せ方/見え方というものは、一般参加者(お客様)が“見ている”事が前提のお話しです。
しかし実際には、お客様には見えていません/見ていません。
見えていない/見ていない状況下において、その見せ方が上手いとか、見え方が良いとか以前の話です。
見映えとは、注目して貰える状況を作りあげる事であり、レイアウトやディスプレイの善し悪しやセンスの有無より遙かに根源的な要素であり、必要不可欠な絶対条件となります。
善し悪しは、見て貰えて初めて得られる評価であり、見て貰えないのであれば評価もへったくれもありません!
そこで、有効視野について基礎的な内容を軽く触れておきます。
図をご覧下さい。
人間の視野は意外にも広いのですが、視覚情報として認識し、理解し得る範囲(有効視野)はかなり狭いのです。
移動(歩行)中のお客様に対し、出来る限り自然な体勢における有効視野内にディスプレイを掲出する、これが肝要です。
比較的多くの方が誤った認識(誤解)をしているのですが、同人誌そのものの内容が良ければ/ディスプレイが良ければ、お客様は来てくれる……というのは、妄想、です!
上記のような考えは、第三者がじっくりと見て善し悪し(好き嫌い)を判断している事が前提の考え方です。
見てくれなければ/見付けてくれなければ/見向きもされなければ、いいも悪いもありません。
このような誤解が真実だとしたら、お店を出す場所(立地)を誰も気にしませんし、良ければ人が来るのであれば、無人島だろうと紛争地であろうと客が来る事になります。しかし現実として、このような事はありません。
まずは見て貰う/見付けて貰う事を主眼に、サークルスペースの見映えを考えてみて下さい。
本当に皆さんが欲してるコトとは?
さて、長々と書いてきましたが、本当のところ、この記事を見に来た方が求めているのは、今回の内容ではないはずです!
ハイ、知っています!!!w
なぜならわたくし自身、2度のコミケ参加に際し、サークルスペース設営にまつわる情報で一番欲しかった情報があったからですw
その情報とは……?
具体的なディスプレイ用品/用具です!
今回、本記事で書いた事の殆どは、わたくし自身コミケ初参加前時点で知っていましたし、高さに関してだけは実際に参加し、見て回った結果、必要だと感じた内容です。
しかし、本当にわたくしが欲していた情報は、それらディスプレイを演出する道具が“一体、なンなのか?”、そして、ドコに売っているのか?
コレです!この情報こそ、欲しかったw
パッパと見付け、さっさと買い揃えたい、そう思っておりましたw
今回、実際にわたくしが買い揃え、サークルスペース設営に使っている小道具類を書くつもりでしたが、ディスプレイそのものの意味合いの説明で長くなり過ぎ為、泣く泣く割愛。
次回、必ず書きます!w
多分、そっちが必見だと思います!w
さいごに
サークルスペース/サークルブースのレイアウトやディスプレイというと、どうしても第三者が“見てくれている事が前提”で話される方や解説なされる方が多数派です。
男性サークルであればクールさやかっこよさ、女性サークルであればオシャレさや可愛らしさなど、凝ったレイアウトや小物で飾りたてるケースも見受けられますが、これは中規模以下の同人誌即売会では武器になりますが、コミケのような大規模イベントではその有用性を失います。
無論、上記のような“雰囲気作り”に注力しているサークルの皆さんであれば、まだ救いはあるのですが、初参加サークル/初心者サークル/弱小サークルにおける大多数は、レイアウトやディスプレイを全く気にしない方が殆どです!w
殺風景でチープなサークルスペースは、一部の奇特な方以外、誰も見向きもしません。
考えてもみて下さい。看板もない/個性もない/商材も見えないようなお店に、入ろうとしますか?そもそも、そのようなお店の存在、気付きもしません。
有名・著名なサークルは良いのです。既に知名度がありますし、既存ファンがいます。ですから、設営の見てくれなど無関係に来客者は訪れ、行列を作ります。
要は、初心者/弱小であるからこそ、サークルスペースを着飾る必要があり、アピールしなければならないのです。
ぜひ、コミケに参加した際、ご自身のサークルスペース設営が終えた開場前の時間帯、会場内を散策してみて下さい。
必ずあります、このディスプレイ凄いな!って言うサークルさんが!!!
サークル主であるアナタ自身で見て回って下さい。アナタ自身が他サークルさんのレイアウトやディスプレイを見ないようであれば、第三者もまた、アナタのサークルを見てくれません。
世の中、よく出来ていますw
素晴らしいレイアウト/ディスプレイをなさっているサークルさんを見て、自身の糧にしてみて下さい。
初めてコミケに参加し、初めて同人誌を出版(発行)する時、一体、何部すればいいの? 昨年(2023年)の今頃(サークル参加当選後)、わたくしも思っておりました。 色々検索をかけて調べたり、コミケに詳しい(サークル参加ではな[…]
先日、「初めての同人誌刊行、いったい何部刷ればいいの?」という記事を投稿しました。 これをX(旧Twitter)で紹介したところ、こんな引用とリプライを頂きました。「コピー本10部/内容良ければ売れる/中身と価格表示/原[…]