たまに見掛けませんか、検索汚染、というワードを?
具体的にどのような使われ方をするかというと、特定キーワードで検索をかけた結果、上位表示(見易い箇所)された結果内容が、求める情報と食い違った場合によく使われる言葉です。
大変、ネガティブな意味合いで使われる言葉なので、知らない方も多いでしょうし、知らなくても全く問題ありません。
結論から先にお伝えしておきます!
X(旧Twitter)のようなSNSなどでは検索汚染は確かに存在しますが、Googleのような検索エンジンでは、検索汚染という程のものはありません!(あるっちゃ~あるけどw)
前者はスパム、後者は検索の仕方の問題です。
それではちょっとだけご説明を♪
検索エンジンでの検索汚染について
実はかなり昔から言われております。
Googleがまだ、ロボット型検索エンジンやクローラーなどと呼ばれていた時代から存在し、2000年初頭には「グーグル爆弾(Google bombing)」などと呼ばれていました。一番古い記録だと1999年まで遡れます。
まだ、検索アルゴリズムが貧弱だった折、検索エンジン最適化(SEO:Search Engine Optimization)を逆手にとったリンク爆弾による検索結果への浮上(上位表示)、それが大元です。
検索汚染とは直接関係ありませんが、国内でも2004年にはゴッゴル、翌年にはデースケドガーという“存在しない言葉”によるSEOコンテストが開催されたことがあります。
「検索汚染」という言葉自体は、実の処そんなに古くはなく、メディアで掲載されたのが2021年5月7日、個人で言及したのが2015年7月16日/2015年4月4日辺りまで遡れます。
※あくまでも現時点で検索した結果、サクッと出てきた記録で、上記が最古とは限りません。誰が初めて使用したのか、は不明です。
SEO界隈では寧ろ、「サジェスト汚染」が言及されておりました。
2004年から実験的に運用されていたサジェスト機能が2008年8月末に標準実装されたもので、いわゆる、検索ワードに関連した入力補助機能です。
このサジェスト機能は、特定キーワードと併用されるワードをサジェスチョンとして表示する為、ネガティブワードとの併用による検索回数が多いと、ごく自然にネガティブワード無しの状態でもサジェストされ、企業や著名人といった方々のブランディングにはマイナス効果を与えます。
それ故、SEO対策を主としたサービスを提供している法人は、サジェストされるネガティブワードの火消しサービスを提供し始めた訳です。その際に使われる説明に、このサジェスト汚染という言葉が使われます(口コミやレビューも含まれるケースで使われる場合もあります)。
従って、検索汚染と一言でいっても、法人関連は“サジェスト機能におけるネガティブワード”を、個人であれば“検索結果への不満”を、それぞれ指すようなイメージとなり、両者には隔たりがあります。
検索汚染が言及された経緯
ここで取り上げるのは「検索汚染」です。ビジネス系のサジェスト汚染ではありませんので悪しからずw
調べてみますと、恐らく「ISISちゃん」が初出、つまり、2015年1月のようです(この時点では検索汚染というワードはありません)。
当時、ISISの活動が凄まじく、日本人2名が人質になっておりました。ISISはTwitter(現X)での広報や残忍な動画投稿など、ネットでのPR活動が目立ち、当時のニュースもこの組織の事で持ち切りになっていました。
そんな中、2ch(現5ch)のVIP板で出されたアイデアがISISちゃんというキャラクターで、いわゆる、“サジェスト汚染”目的です。
ISISちゃんというキャラと「#ISISクソコラグランプリ」により、検索結果やSNS上でISIS当人らの広報活動を表に出させない(告知させない)手法を執った訳です(人為的なサジェスト汚染)。
※これらの活動は日本人の人質が殺害された事を受け、不謹慎なネタとされ、間もなく終息します(ISISちゃん普及botはまだ稼働しています!w)
この時点、つまり、2015年1月末時点では、サジェスト汚染、です。
これが、“検索汚染”と変わったのが、2015年4月です。但し、ここで言及されているのは、ISISちゃんを含むサジェスト汚染。その一連のツイートをまとめた際、検索結果汚染というタグと検索汚染というタイトルが付記されています。
この三ヶ月後、2015年7月には、『刀剣乱舞』による検索汚染を言及したツイートが見られます。翌年2016年には、今は亡き“NAVERまとめ”を、ついで艦これ/とうらぶ/パズドラが検索汚染として言及されます。そして、検索汚染という言葉がある程度知れ渡ったのが、2018年のFGOによるGoogle画像検索汚染です。この辺りであれば、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
本当に検索汚染ってあるの?
では、実際に見てみましょう。
確かに、2018年1月初頭の方を見ますと検索汚染されているように思われます。しかし、6年経った2024年現在、ほぼ検索汚染は見られません。
実の処、検索汚染と呼ばれる現象は、検索キーワードのトラフィック・ボリュームに因るのです。
特定期間内において、検索に用いられるキーワードの併用とその検索数のマッチ(クリックに伴うブラウジングや閲覧他)が大きく影響をもたらし、検索量が落ち着きを取り戻した時には、Googleの推奨する記述や支持率(外部リンク他)、情報そのものの新鮮さなど、いわゆる、SEO分野での検索結果になり、そこまでおかしな検索結果を表示する事はありません。
少なくとも現在であれば、FGOの北斎ちゃんより葛飾北斎にまつわる記事や浮世絵版画が表示され、実際の葛飾北斎の調べ物をする上で困る事はないはずです。
え?これだけじゃ信じられない??
では、やはり超メジャーな慢心王ことFateシリーズからギルガメッシュを調べてみましょう。
なんて書いてありますか?
はい、「ギルガメシュ」と表示されていますよね?
念の為、ギルガメシュで検索してみましょう。
実はこれ、単純に“検索キーワード”が間違っていただけなのですw
ギルガメッシュという表記はFateシリーズやファイナルファンタジー・シリーズのキャラクター名なのです。ギルガメシュは元々、日本語ではありませんからカタカナ表記や読み方など多様です。その多様さの中、キャラクターとして「ギルガメッシュ」と名付けられた記事が上位に出てくるのは必然であり、これは検索の仕方がよくなかった訳です。
しかし、ギルガメシュという表記についても検索結果では言及されていますから、再検索すれば問題ないのです。
※これ、この記事用にわざとギルガメッシュと検索したのではありませんwわたくしもナチュラルにギルガメッシュと認識しておりましたので、たまたまこのような検索結果を見る事になりました(Wizardryの「ギルガメッシュの酒場」で覚えていた為……さすがに、ドルアーガの塔の主人公「ギルガメス」でないのは分かっておりましたがw)。
それでは今度は、わたくしの大好物「ウマ娘プリティーダービー」にまつわる検索をしてみましょう。
実は、ウマ娘も検索汚染扱いされた事があります(現在進行形で語っている方もおりますがw)。
TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』の主人公、トウカイテイオーで検索してみましょう。
実際、検索結果にはウマ娘関連も多く出ていますが、しっかりと競走馬の情報も表示されています。
この時点で、これは検索汚染だ、とおっしゃる方もいらっしゃいますし、確かに、ウマ娘というコンテンツが登場する前では有り得ない状況だというのも分かります。
では、ほんの少しだけ、検索法を変えてみましょう。
まずはコチラをご覧下さい。
検索結果に違いがありますよね?
これ、除外検索をかけただけです。具体的には、「-(半角マイナス)」をつけ、除外したいキーワードを記入しただです。
ウマ娘関連を除外したければ「-ウマ娘」、ウマ娘関連をメインに表示したければ「-馬」としておけば、概ね、必要な検索結果を得られます。
さて、ここで敢えて「ウマ娘 検索汚染」と検索をかけてみました。
出て参りました、批判的な記事の数々が!
この中で気になった記事がありました。
「マルゼンスキー」の画像検索への憂慮です。2021年ですから、ゲーム「ウマ娘」がリリースされた年です。リリース直後のウマ娘の勢いは凄まじく、当然の心配、そんな感じです。
記事には、昔の馬なので画像そのものが少ないので検索結果が混沌化する、と。
では、実際にマルゼンスキーで画像検索をしてみましょう。
マルゼンスキーという競走馬は、1976年にデビューしました。実に、50年近く前の競走馬です(生きていれば50歳です!)。
インターネットが登場する遙か以前の競走馬ですから、そもそも投稿されている画像が多くない、という指摘は正しいと思われます。
では、ちょっと検索の仕方を変えてみます。
前述の除外検索(-ウマ娘)で画像検索を試してみたところ、大分、競走馬のマルゼンスキーの画像が支配的になりました。
更に、期間指定検索「before:」を加えてみます。ゲーム「ウマ娘プリティーダービー」のリリース日が2021年2月24日ですから、「before:2021/2/23」と入力してみます。これは、2021年2月23日より前に作成されたものを意味します。
大分、競走馬としてのマルゼンスキーの画像検索が洗練されたのではないでしょうか。
※より精度を高めるのであれば、ウマ娘というコンテンツが発表されたAnimeJapan2016、すなわち2016年3月26日以前、「マルゼンスキー -ウマ娘 before:2016/3/25」にしておけば良いです。実際の画像検索のキャプチャは割愛しますが、試してみたところ、より精度は高まっており、ウマ娘におけるマルゼンスキーというキャラクターは一切表示されませんでした。是非、ご自身の目でお確かめ下さい。
検索結果はアナタ次第!
冒頭で述べた通り、基本的に検索汚染などというものは、検索の仕方次第でなんとでもなります。
※サジェスト汚染は残念がら、本当にあります、が!?w
Googleに限らず、Yahoo!やBingであっても条件検索をすれば、より精度の高い情報を得る事ができます。
これは丁度、辞書を引く、のに似ています。
必要な情報を、過不足なく取得する手段であり、ロボット型検索エンジンと呼ばれた現在の検索エンジンであれば、検索の仕方でその精度を高める事ができます。
単一のキーワードだけで検索をかける事自体が稀だと思います。条件付けをし、実際に必要な情報を目にし、アクセスをして行けば、自ずから検索結果はアナタに最適化して行きます。
検索汚染だと嘆いて怒っていても意味がありません。何故なら、真新しい情報は次々と増え、基本的にGoogleのような検索エンジンは“フレッシュ”な情報を提示するようになっています。
当たり前ですよね?
古い情報が表示され続けた方が困るからです!
従って、検索の仕方を覚え、実際に試してみて下さい。検索の仕方については割愛しますが、それこそ検索をかければすぐにその情報を手に入れる事ができますよ?
はい、検索にチャレンジしてみましょう!w
検索汚染は本当にないの?
冒頭に記載した通り、検索エンジンに限れば、ありません!
しかし、同様に、X(旧Twitter)のようなSNSでは、存在します!
いわゆる、スパム、最近風にいえば、インプレゾンビに該当するアカウントです。
bio(プロフ)やポストへのキーワード羅列、ハッシュタグの多用、トレンドワードをポストに仕込む他、多種多様なスパマーによる手口があります。
なにもこれは最近になって現れたものではなく、それこそクローズドSNS時代のmixiなどでも多用された手法です。
※基本的に、一般名詞の羅列は対人向けなのでスパムたり得ません。スパマーは、固有名詞を多用します。
では、これを回避する方法は?
残念ながら、そのSNS上での検索汚染避けは、“ほぼ”ありません。
各SNSの検索フォームは、精度を求めていない傾向が高く、特に新情報は優先されるか、もしくは課金ユーザーに配慮した作りになっている為、検索結果は曖昧です。
尚、あくまでも限定的ではありますが、外部の検索エンジンにキャッシュされたページを別途、検索する事はできます。
例:Googleにて、「site:」を使います。「site:該当URL」とし、URLの後にキーワードを加えれば、クローラーがキャッシュしたページを検索結果として表示します。但し、オープンなSNSに限定され、クローズドSNS(ログイン制アプリなど)には使用できません(ページが公開されていない環境ではリスト化されない為)。
最後に
検索汚染と呼ばれるような情報の本筋は、最新の情報を出来る限り速やかに、優先的に表示させる検索ならではのアルゴリズムであり、凡そこれが覆る事はあり得ません。
考えてもみて下さい。
ニュース記事を閲覧した時、10年も20年も前の記事がいの一番に表示されているとしたら、そのニュースサイトは使い物になりません。なぜなら、NEWS、なのですから。
ですから、古い記事や情報というものを調べるには、ちょっとした工夫と一手間が必要となり、これは何もネットに限った話ではありません。
一見、検索汚染に見える情報というのは、汚染されていると感じたアナタ以外、より多くのユーザーが欲している情報だという事です。従って、検索ボリュームの少ない情報を入手したい場合、必要な措置をとらなければなりません。
これらの措置を実行しないと、バズやミーム、トレンドのみが行き交いますから、情報としての品質は下がります。
また、SNSの場合、放って置いても自身が興味を示すもののみ、情報が行き交う仕様になっています。これがフィルタリングと呼ばれる現象で、受動的に待っていると近しい情報のみを交換しあうユーザー以外の異なる情報を見出し辛くなります(クラスタ化/コミュニティ化)。
例:「きのこたけのこ戦争」について、どちらか一方を支持する立場を取ります。仮に、きのこ派、としましょう。この時、きのこ派の支持者や好意的なアカウントをフォローし、これを継続すると、間もなく、自身のアカウントに流れる情報は、きのこ派が多数となり、たけのこ派が少数になります。従って、きのこ派が多数派、だと信じる事になります。大分雑な例になってしまいましたが、これがフィルターバブル効果やエコー・チェンバー現象というものでソーシャルフィルタリングに該当します。
検索汚染と嘆く前に、検索とは情報入手の為の手段に過ぎない、と理解し、情報そのものに前向きな姿勢で取り組んでみて下さい。
恐らく、今迄知り得なかった情報に、出会えるかも知れません!
お大事にッ! ← ?